『中国駐在が決まったらまず準備すること』
ある日突然会社から、「来月から中国の○○に行ってください。」といわれたら、頭の中が真っ白になり、何を準備していいのかきっと迷うと思います。漠然とした不安と自分の生活そして家族との生活環境の変化をどう対処していいのかという色々な思いが一気に頭の中を駆け巡り、そして、奥様や家族へ電話をすると、「えー本当、えー中国?」とか前から打診されていた方は、「いよいよ来たね~。」とか、想像の世界から、現実の世界に引き込まれるような非日常の瞬間がやってきます。
また、中国駐在といっても、単身赴任なのか、家族で行くのか、また、奥様だけかお子様も一緒に行くのかとパターンは色々です。単身赴任の場合は比較的用意するものもご自分の事だけなので、ある程度整理がつくと思いますが、家族がいっしょとなると一大事です。
奥様の生活、子供の学校はどうするのか、まして、言語が英語ではなく、中国語であるということ、日本人は漢字は分かっても、言っていることが分からない世界に行かなければならないのです。
でも大丈夫です。夫と共に上海駐在8年の私がいかにスムーズに駐在生活を始められるかそのキーワード(中国語:“关(ɡuān)键(jiàn)字(zì)”)をお伝えします。
①情報収集
一言に中国といってもとても広ーいのです。中国の国土は、960万km²でロシア、カナダに次いで第3位、ちなみに日本の国土は37.8万km²で世界第60位です。(この国土の数字もなんとなく頭に入れておくと便利です。中国の人は、やはり国土の広さを自負しています。「日本の国土はどのくらいなの?」と聞かれた場合に、話題の一つとして役立ちます。)
話は戻りますが、広い中国のどこに行くのかということで、問題は大きく変わってきます。大都市なのか、内陸なのか、北部、南部なのかによって、環境も生活も様々です。そこで、お役に立つのが、“中国駐在員ブログ”や“中国駐在太太ブログ”です。これの“太太”の字を“タイタイ”と読めれば中国語初級合格です。中国語で“太太”は“奥さん”のこと。彼らのブログには日本人から見た“今の中国”があります。具体的な情報に、もやもやっとした不安が払拭されること間違いなしです。ちなみに北京、上海、広州、香港等の大都市は、生活面でのハードルが低く、意外となんでも手に入ります。例えば、みそや醤油など日本人向けスーパーがあるので大丈夫です。
②健康診断
会社から赴任までに健康診断を受けるように言われる方もいると思いますが、まずどこで生活するにしても健康が第一です。中国パワーに打ち勝つには、ご自身も心身ともに強くなければなりません。
そこで、特にお勧めなのは、“歯の治療”をしておくこと。これも会社により違いますが、海外赴任の保険に歯の治療費が入ってる場合とない場合があります。また、会社により一旦自費で払った後に会社に請求する場合もあります。準備段階で会社に確認されることもいいかもしれません。
いずれにせよ、大都会は日系の歯医者さんがいますが、これも駐在赴任場所によりけりなので、なるべく日本にいるうちに日頃通っている歯医者さんに行ってデンタルチェックをお勧めします。ちなみに私の場合、歯のかぶしている物がとれ、それを付けただけで300元、虫歯がひどくなり型をとって歯にかぶせる治療は3000元かかりました。歯は痛くなるとがまんでません。
万全の態勢を整えるためにも是非赴任前に歯医者さんへ。
③海外駐在に必要なもの
(1)常備薬
前章でお話しした健康診断の時にお医者さまから処方されるお薬が必要な方はそのお薬を用意することは、もちろんですが、日常つかっている薬、つまり頭痛薬や胃薬、整腸剤、下痢止めなど日本で日常マツキヨなどで簡単に買える日本の薬はありません。
駐在が長くなると、中国の薬で自分の合うものを段々探せるようになりますが、初めのうちは経験もなく、薬局に行って何といっていいのかも分からないので、日本からとりあえず準備していった方が良いと思います。
特に以外となかったのものが“シップ薬”です。最近バンテリンがこちらでも発売されていますが、液体とクリーム状のものです。なので、日ごろから、シップ類を愛用されている方は、是非持参することをお勧めします。たまに「次の休みの時の日本のお土産なにがいい?」と中国の人に尋ねると、「シップ薬を買ってきて。あれ中国にないから。」と言われるほどです。
シップ薬は中国では貴重品です!
(2)常備食
欧米と違い、私たち日本人にとって、食事の面で中国で一番いい事は、“ご飯”があることです。日本食ブームの昨今、欧米でもご飯が食べられますが、価格が高い!それに比べると中国の食事は一般的に“白いご飯”(中国語:米(mǐ)饭(fàn))があるのです。
それでもやはり本場の中華料理です。赴任してすぐは、連日連夜の歓迎会、胃もぐったり。日本の“ソフト中華”(と私は呼んでいますが、)と違い油はやはり多いです。そこで、赴任後だれでも経験する恐怖の“中華料理が一切受け付けない日”がやってくるのです。
中国の中華料理は、油もさることながら、匂いも強烈です。八角、花山椒、トウガラシ、ニンニク、生姜、この中国料理五大調味料が体調の弱っている日にガッと、五感を刺激された日には、一機に食欲も失せ、そしてそこ日から“何も食べられない日々”がやってくるのです。その日々を如何に回避するかが、駐在生活のキーワードとなります。
それには、自分が一番好きなもの、これを食べれば、その日は“胃だけ日本に帰ったように感じる食品”をもっていくことです。たとえば、日本のラーメン、カップうどんです。夫は、先に単身で3年間駐在していたのですが、日本に帰国の度にどん兵衛のきつねうどんを2ケースもって行っていました。あの鰹節のスープは中国で探すことは困難です。輸入されてはいますが、30元前後(500円~600円)はしてしまいます。しかも日本人用スーパーにしか売っていません。体調が悪くなって買に行くことは不可能です。人によっては、“何も受け付けない日々”をふりかけと即席味噌汁でしのいだり、○○園のお茶漬けを持参していたりと方法は様々です。つまり、“ソウルフード”をもっていくことです。
体は正直です。やはり日本人が中国で生活することの拒絶反応はいつの日か必ず訪れます。それをいかに対処するか、何も食べないとますます体調は悪くなります。特に単身赴任の場合、体調が悪くなって、お味噌汁を作るなどは、困難極まります。なので、簡単に食べられる食材の“日本の味”を是非持参してください。
(3)日常衣類
会社に行く場合は通常と同じスーツで、もちろん何も問題はありません。問題は下着です。直接肌につけるものなので、気にする方は特に多めに持参することをお勧めします。ユニクロとかももちろんありますが、日本にくらべると割高です。しかも今円安で、日本人には本当に辛い!会社によりお給料が中国元のみの支給なのか、日本円と中国元半分など、これも赴任時に会社に確認される項目の一つですが、ユニクロのパンツがメイド・イン・チャイナなのに日本円で1000円になんてなってしまったらどうしますか。
特に中国の夏の湿気は半端ではなく、梅雨の時期はなかなか洗濯物が乾きません。日本のように町にコインランドリーもありません。乾燥機がついているマンションももちろんあります。(これも物件を見にいったときのチェック項目にする方もいます)ジメジメとしたなかで、下着は毎日取り換えたいものです。
毎日のことなので、小さなストレスはなるべく排除するために下着のご準備を!
④ネット環境について
今の私たちの生活にはネット環境は欠かせません。もちろん会社の場合は問題ないのですが、問題は自宅です。夜やはり家族と連絡が取りたいですよね。日本との時差は-1時間、問題なく連絡がとれる時差だから、大丈夫と思ってつないだら、つながらない。テレビ電話(スカイプ)などを使ってやろうと思っていらっしゃる方も多いと思いますが、ネットの速度が安定していないのが中国の現状です。月曜から金曜は朝と週末は比較的つながりやすいですが、(上海での実体験です)日本のようにいつも安定しているネット環境を求めることは出来ません。Lineもできません。この問題も、赴任地により様々ですので、前任者の方に確認することをお勧めします。でも、やっと繋がったからこその貴重なスカイプタイムもいいものです。家族との絆も奥様との愛も深まるかもしれまんよ!
さあ、心の準備はできましたか?中国での活躍をご期待致します!
まだまだ不安になってしまう事もあると思います。ですがどうか深く思いすぎず、リラックスして頂ければと思います。中国の諺にある“车(chē)到(dào)山(shān)前(qián)必(bì)有(yǒu)路(lù)”、日本語で“案ずるより産むが安し”です。さあ、中国4000年の歴史の1ページへそして、あなたの中国滞在史の始まりです。